人魚姫3 (ページ23)

今日:20 hit、昨日:4 hit、合計:12,522 hit

122 ページ23

・b

本当にたまたま。

もしかしたら、偶然に近い必然だったのかもしれない。

今日は稀にみるオフの日。

家から出ないでゲーム三昧だ。

そんなこと考えながら飛び起きたベッドの上、窓の外から流れ込んだ清々しい空気のせいで、俺は何故だか散歩がしたくなってしまった。

ギョンスの作った朝食を冷蔵庫から取り出し電子レンジに放り込む。

みんな、今日はそれぞれに仕事か。

休みは俺だけかぁ、

ひとつ大きなあくびをして、部屋に戻って着替える。

リビングに戻る頃、朝食を温め終えた電子レンジはもう動きを止めていた。

よく噛まずに胃袋に押し込める。

それからコーヒーで流し込み、テレビをつける。

あんまり面白くないな、

やっぱり消して、ちらっと時計に目をやる。

15時48分。

朝だと思って食べたこの朝食は、知らず知らずのうちに昼食になってしまった。

いや、なんならおやつかも。

ちょっと寝すぎたのかな、まぁ、いっか。

散歩がてら、ランニングしよ。

お気に入りの黒いスニーカーを履き、俺は家を出た。

そうして、2時間ほど走って。

そろそろ休もうと見つけた公園の先、

小さく縮こまった、知ってる女の子を見つけてしまった。

なんでこんなところに居るのか。

どうして瞳を濡らしているのか。

そんな質問ぜんぶ吹っ飛ぶくらい、彼女の心が弱っているように感じた。

触れてもないのに分かる、

触れたら、予想よりずっと冷たくて。

今すぐ俺の体温で温めてあげたくて。

でも、走ったせいで汗臭いからそれはやめて。

「帰ろ、送ってくよ」

それが、俺にできるせめてもの温め方。

返事なんていらない、

首を横に振られたって、俺が送ってくつもりだ。

早く、温めてあげないと。

落ち着くところに、彼女を連れて行かないと。

なんでだろ。

そんなこと考えてたんだ、俺。

変だねって笑ってくれる？

変なんだよ、やっぱ俺。

Aのせいで、どんどん変になっていく。

きっと、

たぶん、

本気で好きなんだ、Aのこと。

そうなんだと思う。きっと、