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「…A？」
頭がくらくらするほど甘い、甘ったるい風が、不意に私の髪を撫でた。
腕の中にすっぽり隠していた顔を、ゆっくりと解いてゆく。
見たことのある、黒いスニーカー。
やだなぁ、
途端に、胸の鼓動が早くなった。
知ってる、この香水の匂い。
なんで、こんなところで会っちゃうんだろう。
もしかしたら私、心の何処かで願ってたのかもしれない。
こうなることを、
あなたの名前を呼んでいたのかもしれない。
『ベク…』
間違えて泣きそうになって。
慌てて飲み込んで。
それから、
滲んだ視線の先で、あなたと絡み合ってしまった。
「やっぱり、Aだ」
見つかって、
「帰ろ、送ってくよ」
差し出された白く細い、大きな手のひら。
『…っ、』
見つけて、
「手、冷たすぎ(笑)」
ベクの体温に、自分の熱を重ねてしまった。
もう戻れないかも。
後ろは振り返れない。
振り返ったら、すぐそこに彼が立っていそうで。
もしかしたらもう、私の背中の先にいるのかもしれない。
手を伸ばせば届く、そんな近い距離に…
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zuyugo(プロフ) - こんばんは(^^)いつも楽しみにしています、続きがいつも気になります…！切ない感じが大好きです！応援してます(^-^) (2019年1月29日 20時) (
レス) id: 53905cc901 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るるり | 作成日時：2018年12月12日 14時
