人魚姫2 (ページ5)

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「今度、飴のお礼にどっか行こっか」

『…え、？』

ほんと、ころころ話が移り変わって理解できない。

「まだ食べきてれないけど(笑)」

だって、量すんごかったもん。

「いつにする？あ、今週の木曜は！」

ねぇ、本当に言ってる？

それって、私のこと誘ってるの？

『ふたりで…？』

「え、他に誰連れて来るつもりなの！？」

うそ、そんなの

「どこいこーかな、どこ行きたい？」

そんなの、デートじゃんか

『ま、任せます、』

「じゃあー。水族館？」

水族館…

私が昔、よく家族と出かけた場所。

「遅刻したら昼飯奢るの刑だからね」といたずらっぽく喋る声が、「じゃあおやすみ」と続けた。

『おやすみなさい…』

まだドキドキしてる心臓を抑えながら、電話を切る。

これがデートの約束と言っていいのか正直分からない。

でも、嬉しい。

こぼれる笑みに、覆った手が熱い。

そのまま閉じた瞼は、カーテンから差し込む朝の眩しい光に包まれるまでピクリとも動かなかった。

…

…

深い眠りの中、私はオレンジ色の街の交差点に立っている。

あの日、あの交差点で私たちが出逢ってなければ、違う形でまた出逢えてただろうか。

お互いがお互いの存在を知らないまま今日が来ていたら、私たちは幸せだったのかもしれない。

背後に迫る足音に、私たちはまだ気づかないでいたた…