人魚姫2 (ページ37)

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「まぁ、恋愛ってそう上手くはいかないんすよ、そんなに気にすんなって！」

彼はキメ顔で鼻を鳴らすと、私の背中を軽く叩いた。

なんか今、急に、この年下に慰められている状況に疑問を抱いてしまった。

解せぬ、

『違うって。恋愛とかじゃないよ、本当に』

突発的に発してしまった言葉が、思いのほか強い響きで。

思わず見上げたリン君の顔は、少しだけ驚いているように感じられた。

『…ごめん、』

とっさに謝った口が、続けるように次の言葉を紡ぐ。

『なんか、よく分からないんだよね。好きとか、恋とか、そーゆうの。私にはすごく、異次元みたいに感じられて』

なに言ってんだろ、私。

言い終わるや否や、恥ずかしさが突然込み上げてきた。

「オレ…」

けど、リン君はそんなの気にしないみたいな顔で喋り始める。

「オレ、今の彼女と出逢う前までは一目惚れした女の子とばっか付き合ってて。一緒にいるとすげぇドキドキして、時には息ができないくらい苦しくて。でも、とてつもなく楽しくて。それが、恋とか、好きとかだと思ってたんすよ」

「でも、今の彼女とは一目惚れで付き合ったんじゃなくて。友達として仲良くしてた時に、なんか、すごく安心するなって。この子といると、オレがオレらしく笑えるなーて。」

「ドキドキしたり、胸を焦がしたり、相手のこと考えるだけで眠れなくなるのも恋だと思うけど、自分が自分らしく振舞えて、その相手と一緒にいるだけで安心するのも、それはそれで恋なのかなぁて。オレは、思いますけどね」

なんか、ムカつく。

それくらい、今、目の前にいるこの男子高校生が、私よりずっと大人びて見えた。

ドキドキするのも恋、

安心するのも恋、

私は一体、どっちの恋をしてるんだろう。

わたしは…