人魚姫2 (ページ29)

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なんだか、もう彼が会ってくれないような気がした。

だから、『また、今度…』なんて付け足すみたいに言ってしまった。

彼が行ってしまってから、多分1時間は経った思う。

それなのに私は、まだここを動けずにいる。

乾いた海の音を聞きながら、彼と座っていたベンチに、今はひとりで座っている。

そろそろ帰ろう、

そう思って立ち上がり、歩いて駅まで行って、帰りの切符を買って、電車に乗り込んだ。

辺りの景色はすっかりオレンジ色で染まり、だんだんと暗くなる海の底に夕日が消えていくのを車窓から眺めた。

最寄りの駅に着くと、スマホに映る時間は20時を過ぎようとしていた。

家に帰っても誰も夕食を作って待ってはいないから、仕方なくスーパーに入ってそこのお弁当をカゴに入れた。

「…久しぶりですね、」

だから、こんな所でまた会えるなんて思ってなかった。

『っ、お久しぶり…です、ギョンスさん』

彼は、なんだか嬉しそうに微笑んだ。