人魚姫2 (ページ24)

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意味もなく繋がれた手に、私の胸はいちいち反応してしまう。

速くなる鼓動に、追いついていけない思考が私をひとりぼっちにさせる。

イルカショーが終わった時には、ちょうど時計の針が13時を回っていた。

彼は「何か食べる？」と私に聞いたけど、たいしてお腹は空いない。けれど、彼は空いているのかもしれないし、もしそうだったら申し訳ない気がして

『なんでも食べれるはず』

なんて、小さな嘘をついてしまった。

「はず？(笑)」

彼は、相変わらずよく笑う。

「確かここってレストラン入ってると思ったんだけど…」

んー。と少しだけ唸った彼の横顔が、見惚れるほど綺麗だ。

「あ、あったよ！」

館内の地図を眺め、睨めっこしているみたいに険しい彼の顔がパッと明るくなり、私の方にその眩しさを向けると「いこ！」なんて私の腕を引いて歩き出す。

彼は、

ベクは、

いつも、私の少し先を歩いている気がする。

私を導いてくれてるみたいな

なんだか、

ふと、とてつもなく遠い人のように思えてしまった。

なんにも入らないと思っていたお腹は、ショーウィンドーのオムライスを見つけてたちまち音を鳴らした。

なんだ、お腹空いてたんだ、私。

彼はハンバーグを頼んで、向かい合った私達はたわいない会話を楽しんだ。

その後、お土産屋でも覗いてみようかと思っていたら、「あっ、」と何かを思い出したみたいに薄く、彼が隣で声を落とした。

『ん？』

それを拾った私は、彼の顔を躊躇いがちに覗いてみる。

「あれ、あれあれ、」

何かを伝えようとして、でもそれを忘れてしまったのか、喉の奥に詰まって出てこない言葉を、彼は必死に絞り出そうと私を見つめた。

『あれ？』

「えっとね、なんか、すんごいデカイやつ観忘れた！」

デカイやつ…？

サメかな、なんて思って聞こうとしたけど、それより先に、もう彼が歩いてしまったから、私は本当にひとりぼっちにされるのではないかと思った。