人魚姫2 (ページ15)

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「誰か待ちですか？笑」

茶化すような笑顔を私に向けるリン君は、さっきからずっと私の二の腕にボールペンを刺している。

『誰かって？』

「んー。いや、いつも来る人？」

リン君が首を少しだけ傾け、

「あ！ほら、小柄で目の大きな男の人っすよ」

と、思い出したように私を真っ直ぐ見る。

『あ、あぁ…そうだね』

きっと、リン君が言いたいのはギョンスさんのこと。

「よく喋ってたし、仲良さげでしたよね」

『あー、うん、まぁ』

どうしてだろ、

「週に3、4回？くらい来てたのに」

『だね、』

どうしたんだろ、

「なんか、あったんすか？」

『なんだろ…ね、』

ホント、なんだろう。

「いや、Aさんがですよ。なんか元気ないし」

『っ、え…』

「なんかあったのかなぁーって」

なんもないよ。

なーぁんにもない。

あの日、ギョンスさんを見てからずっと。

その日の夜は、きっとギョンスさんがいつもみたいにここへ来て、いつもみたいにお話しして。

その中で、ふっとその日の事を思い出して。

私が聞いてみるの。

『今日、ギョンスさんを見かけたんです』

って。でも、私がどこで見かけたか話すと、彼は笑って言う。

「人違いですよって」

それで私は、あぁ、やっぱりそうだよねって心の中で呟いて彼を見る。

2人、視線が重なって。

それが恥ずかしくて笑い合う。

そう、思ってた。

そうなるんだろうなって、予感してたのに。