人魚姫2 (ページ12)

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Aさん…？

俺が振り返った時、そこには確かに彼女がいた。

なんで、ここに…？

…

…

…

今日は午後から音楽番組の収録があって、メンバーと一緒に車に乗り込みテレビ局に向かった。

いつものように俺達を出待ちしているエリ達が見え、車を出るとエリの大群が荒波みたいにしてドッと押し寄せてくる。

「今日もすごいなぁ」

なんて呑気に呟いたチャニョルが俺の横であくびをした。

目の前ではエリ達に押し潰されそうになりながら愛想を振りまき進むベッキョンが見え、そんな姿にすごいな、と感心する。

ベッキョンはいつだって笑顔で、お調子者で、優しくて、すごくいい奴。

俺がどう頑張っても勝てない。

俺にはない魅力を持っている。

「手ぐらい振りなさいよ」

いつの間にか、俺の方に顔を向けてたベッキョンが耳打ちしてきた。

「え、あ、うん」

我に返ってとりあえず手を振る。

「んー。これじゃ進めないよ」

苦笑いを浮かべるセフンが、後ろで唸っている。

「そうだね」そう言ってセフンを振り返えるその動作の中、知っている人が俺の視界を横切った。