人魚姫2 (ページ2)

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足元を照らす街灯の明かりは、その先に続く暗闇へ私を導いているみたいだ。

少しでも油断したら、きっと地面がぐにゃりと歪んで私を呑み込んでしまう。

強く踏みしめた足がさっきまで私の隣で笑っていた彼の名を呼び、会いたいと叫んでいた。

湧き上がる悲しみに振り返った私は、もう見えない彼の背中を夜の闇に描く。

寒いなぁ…

カレンダーをめくれば、すぐそこに春が迫って来てるのに。

私の体はひどく冷え、今にも凍えてしまいそう。

ピロン

なんの前触れもなく、突然鞄の中でスマホが震えた。

「ちゃんと帰れましたか？」

彼からだった。

『もう家に着きます』

本当はあと10分くらいかかるけど。

きっとそんなこと言ったら、絶対に彼は心配してくれる。

…もう、誰かの優しさには触れたくない。

「気を付けてください。おやすみなさい」

絵文字もつけない真っ黒なセリフが、彼らしいと思う。

『ありがとうございます。おやすみなさい。』

それだけ打って、おやすみのスタンプを送る。

誰かの温もりに包まれた時、傷つくのはいつも包まれた方。

いつも、私だけ。

もう二度と、失いたくない。

私に笑いかけてくれる人を。

だから、大切はつくらない。

失くした時に、深い悲しみに呑まれてしまうから。