人魚姫2 (ページ1)

今日:25 hit、昨日:2 hit、合計:36,400 hit

50 ページ1

・b

「ただいま～」

俺が家に着いたのは、時計の針が23時を追い越そうとしていた頃。

「うわっ！酒くさ！」

リビングのソファーで横になってたジョンデが渋い顔して起き上がる。

「ここで寝てたの？部屋戻りなよ」

「んー！！」

ソファーから立ち上がるやいなや、ジョンデは天井に腕を上げ大きく伸びをした。

「酒強くないんだからあんま飲むなよ～」

ジョンデはおかえりを言う代わりにそう言うと、自分の部屋に戻っていった。

確かに、今日はちょっと飲みすぎたかも。

んー。ねみぃ…

「んあ゛ー」

さっきまでジョンデが寝ていたソファーに倒れ込んだ俺は、変な声を上げながら彼女のことを想う。

連絡先、貰っちゃったよ…

自然にスマホを取り出した右手が、彼女のトーク画面をだし、何か打ちたげにソワソワしている。

…あーなんて打とう。

とりあえずスタンプでも送っておく？

普段の俺なら、誰かとのやりとりでこんなに躓くことないのに。

結局、

「もう寝た？俺はまだ起きてるよ」

って意味のわからない文章と、カカオフレンズの踊ってるスタンプを送ってしまった。

…

…

…

やっぱ、送んない方が良かったかも。

今更後悔し、スマホをテーブルに置こうとした時、

「私もまだ起きてます」

彼女からの返信が来た。

うそ、まじか。

嬉しくて、今すぐにでもソファーから飛び上がりそうになる。

「電話したい」

直球すぎるかな？

でも、彼女の声が聞きたかった。

『はい』

彼女から送られて来たのは、そのたった二言。

それだけで、胸が苦しくなる。

すぐに電話をかけた。

『もしもし…？』

スマホの向こう側から聞こえて来たのは、俺が聞きたかった声そのものだった。