人魚姫2 (ページ35)

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早く寝よう、

少し息を吐いて、浴室に向かう。

風呂に入ってさっさと寝ようと考えていたせいか、それとも、別のなにかが頭をかすめたせいか、手ぶらで浴室に来てしまったことに気がついた。

そんな自分に呆れながら、部屋着とバスタオルを取りに部屋へ戻ろうとリビングを通った、ちょうどその時、

「っあ、」

今まさに帰ってきたばかりのベッキョニと鉢合わせした。

「っおかえり、」

驚いて、言葉に詰まる。

「あ、うん、ただいま」

そう言ったベッキョニは、悲しそうな笑みを俺に向けた。

「どうしたの？」

なんとなく、それが気になってしまった。

「ん？なにが？」

「いつになく帰りが遅いから…心配してたよ、チャニョリとか、」

「そっか、ごめん、ちょっと事務所行ってて」

事務所…？

なんで、

「…今日、デートじゃなかったの？」

昨日、あんな楽しそうにしてたじゃん

「あぁ、うん。いろいろあって…ごめん、俺もう寝るわ」

え、…

いろいろってなんだよ。

なんでそんな、苦しそうな顔してるの？

ねぇ、ベッキョナ。

なんで、

「おやすみ、ギョンス」

「…おやすみ、」

結局俺は、またいつもみたいに言葉を飲み込んでしまう。

本当は、お前に言いたいことがあるのに。

俺は、どうしてこんなに…

こんなに、逃げる事ばかり上手くなるんだろう。