人魚姫1 (ページ44)

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『すごい素敵なお店ですね』

彼が連れて来てくれたのは、私が普段行かないような高級そうなお店。

本当にこんな所にサムギョプサルあるの？って思うほど素敵だから、変に畏まってしまう。

黒いスーツに身を包んだ店員さんに案内され、私たちは個室に通された。

「緊張してます？」

目の前に座る彼は、今にも笑い転げちゃいそうな笑みを顔に浮かべてる。

『し、してます…』

「ふふふ、力抜いてください(笑)」

『んもぉ、笑わないでください！』

「ごめんなさい。でも、ここすごく美味しいですから」

運ばれて来たお酒で乾杯をした私たちは、テーブルの上を次々と埋め尽くす色とりどりの野菜とお肉に目を奪われた。

『おいしぃー！』

「よかったです、喜んでもらえて」

彼とはさっき観た映画の話をしたり、

『え、ギョンスさん20歳なんですか！？』

「そんな驚きます？」

『年上かと思ってました』

びっくり。

私と同い年なんだ。

なんか、すごく大人っぽく見えるなぁ

彼の話を聞いていると、私の知らない顔が見えてきて、なんだか面白い。

『お仕事は？何してるんですか？』

でも私がその話を持ち出した時、明らかに彼の顔色が悪くなって。

それは、聞いちゃいけないことなのかなってなんとなく思った。

『…あ、えっと、』

なんとか話題を変えようとして、

「テレビ関係の仕事、です」

と片方の眉を少しだけ下げて苦笑する彼と目が合った。

『え、すごいかっこいい仕事じゃないですか！」

なんとなくADさんとか音声さんかな、なんて考えて、やっぱり照明さんかな？と想像の中で笑ってみる。