人魚姫1 (ページ37)

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次の夜、俺は約束通り彼女のいる店の扉を開けた。

『いらっしゃいませ』

笑顔で出迎えてくれる彼女を、俺はとても綺麗だと思った。

『感想、聞かせてください』

彼女があまりにも唐突に話し出すから、

「っ、あ…」

言葉に詰まって、笑いがこみ上げてきた。

『なんで笑うんですか！？』

って驚いて目を大きくする姿も面白い。

多分俺は、彼女に恋をしたんだと思う。

「今度の日曜、空いてますか？」

だからこやって、彼女を誘った。

『え、』

「映画観に行きませんか？」

『えっとぉ…』

「ダメですか？」

こんな聞き方、ズルいのは分かってる。

『え、あ、いや、ダメじゃないです…』

ほら、断れないでしょ？

「じゃあ決まりですね」

『…は、はい』

その後のことは、正直よく覚えていない。

リンゴ色に頬を染めた彼女にDVDの感想を話して、彼女のオススメの映画を借りて…

それから、彼女の連絡先を教えてもらった。