人魚姫1 (ページ3)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:63,651 hit

3 ページ3

・

ガラス張りのビルが建ち並ぶ街の、溢れんばかりの人が忙しなくすれ違う交差点。

私はその波に飲まれないように、

遠くで点滅する青色を追いかけて、

勢いよく、なにか硬いものに自分の肩をぶつけた。

『いたっ、』

肩に走った衝撃にバランスを崩し、見事に私の体は地面に落ちた。

「죄송합니다 괜찮습니까? 」

頭上で聞こえる、透き通った声。

突然に、右足に感じた違和感。

なんか、痛いな。

倒れた時に足を捻ったんだ、きっと。

とりあえず立ち上がろう、そう思って足に力を入れようとして、目の前に差し伸べられてた白くて長い、綺麗な手を見つめた。

え、？

それは、紛れもなく私に向けられたもの。

その手の正体を確認しようと顔を上げようか悩んだ末、答えが出る前に私の体がふわりと宙に浮いた。

『っ、わ！』

悲鳴ともとれる小さな声を上げた私は、誰かに持ち上げられたのだと認識する。

そこまで認識して、初めてのお姫様抱っこに胸が高鳴ると同時に、大勢の人が行き交う街中でそれをされているという事に顔が熱くなった。

どうしよう…すごく恥ずかしい。

頬をかすめた羞恥心に、唇を噛み締めた私の足が、ゆっくりと地面へ落とされた。

人通りが随分少ない道の、青葉が茂った大きな木の影の下、私よりも熱を帯びた誰かの腕が、私の体をガッチリと支え、さっき聞こえた透き通る声で言う。

「상처 않습니까?」

もう、とっくに足が痛いことなんて忘れてしまっていた私は、その声を見上げ、幹の隙間から差し込む遅い午後の日差しの眩しさに目を細めた。