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どうしてあんなこと言ったんだろう。
その場でお金を払って頭下げれば済む話じゃないか。
もうきっと、この人には会う事はないのに。
会う、ことは…
「ビョン・ベクヒョン」
優しい声が、私を包んだ。
『あ…、これ！』
急激に熱を帯び始めた瞳を隠すように、持っていた紙袋をその人に押し付ける。
「え、」
『た、タクシーのお礼です』
その人が紙袋を掴むのを見届け、
『じゃあ、あの、ありがとうございました』
それだけ告げると、私は背中を向けて走った。
とにかく、あの場にはいられなかった。
胸が、張り裂けそうなほど痛む。
鼓動が、驚くほどはやい。
これはきっと、走ってるせい。
きっと、そう。
言い聞かせて、吐きそうなほどの目眩に襲われた。
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作者名：るるり | 作成日時：2018年4月6日 5時
