こんな人生って2

67 ページ17

.













臣「ハァ…ハァ…」


眉間に皺を寄せて
息を整えている臣さん


臣「ハァ…見つけられると思わなかったわ」


走って探しにきてくれたってこと…？


「なんで…？」


臣「また泣いてるんじゃないかと思って」


泣いてなんか…


「…大丈夫です」

そう言って、
家に帰ろうと立ち上がると


臣「待って、Aちゃん」

と腕を掴まれた


「…なんですか？」


早く戻った方がいいんじゃないの

中川先輩が待って…


臣「いつまでAちゃんと
こんな感じでいなきゃいけないの？」


そんなの…


「…………っ……」


私だってわからない


臣「Aちゃん」


「……っ…………」


私だって…


臣「俺がAちゃんのこと好きって言っても
このままでいなきゃいけない？」



……………………



……………………



………え……今なんて……？



私の妄想？



夢？



臣「Aちゃん」


腕を掴んだまま
私の進行を遮るように目の前に立ち止まった臣さん


臣「好きだよ」


…現実なのか夢なのか分からなくなってきた


臣「…もう俺のこと好きじゃなくなった？」


夢なのか現実なのか確かめるために
掴まれていない方の手で自分のほっぺをつねってみた


いた…い？

なんだかよく分からない


臣「ふふっ夢じゃないよ？」


そう言われても受け入れられなくて
もう片方のほっぺをつねってみようとしたら

その手も臣さんに掴まれてしまった


臣「痛いよ。赤くなっちゃうじゃん」


掴まれた手は臣さんの体温を感じている



ほんとに現実なの…？



ゆっくり顔を上げて臣さんを見ると

臣「フッ、信じられない？」


臣さんが私を好きなんて、そんなこと…


そんなはずが…




すると突然、視界が暗くなり



”チュッ“



と、静かな夜の公園にリップ音だけが響いた


冷たい唇に一瞬温かさを感じ、


目の前には臣さんの顔


臣「夢じゃないよ。わかった？」



臣さんにキスされたという現実は

理解するのにそう時間はかからなかった



ほんとにほんとに臣さんが私のことを…


臣「ふふっ」


固まったままの私を見て
臣さんは優しく微笑んだ


臣「Aちゃん」


名前を呼ばれて目を見ると


臣「俺の彼女になってください」


今度は真剣な目をして私を見ている





はぁ…信じられない…


嘘みたい…


















.

68→←66

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す