こんな人生って (ページ36)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:33,408 hit

37 ページ36

.

更に5分が経った

うん、戻ろう
戻ってみよう

もう埒あかないし
待ってる方が暑い…

とりあえずこっちから来たよね、と思い出しながら
確信のある方向に歩き出した

歩けば歩くほど、テントと人ばかりで
ほとんど変わらない景色

方向音痴には頭を悩ませる景色だな

青色のテント…も、いっぱいあるし

全然分かんないじゃん
迷子センター行く？

「フッ」

『26歳の女の子、Aちゃんが〜』
なんて放送されたら、たまんないね

ん〜なんかこの辺じゃなか「Aちゃん！」

この辺な気がする、と見渡していると
突然名前を呼ばれて腕を引かれた

えっ、と振り向くと

岩「ハァ、やっと見つけた」

暑い中、必死に探してくれていたのか
肩で息をしている剛典くんだった

岩「どこ行ってんの」

少し眉間に皺を寄せて、苦しそう

「あ、ごめん。テント探して…」

岩「テント向こうだよ」

そう言って、剛典くんが目線を向けた方は
歩いてきた方向だった

普通に通り過ぎてた…

岩「ハァ…」

…剛典くん、なんか怒ってる…？

無駄なことさせちゃったもんね…

「あの…ごめんね」

岩「ううん、よかった。何もなくて」

「うん、大丈夫」

岩「…俺から離れないで」

と、私の目を見つめて言った剛典くん

またドキッとした

岩「分かったの？怒るよ？」

と思えば、今度は柔らかい表情になり
子供を怒る親みたい

「はいっ」

ふふっ、行くよ、と
私の手を握り歩き出した

そういえば…

「浮き輪は？」

岩「あぁ、Aちゃん探しに一回テント戻って
その時に置いたの」

「そっか」

急にいなくなってどこ行ってたの？、と言われ
莉沙に似た人が、と話をすると

岩「なんだそれ、ははは」

「ははっ」

岩「どっか行かないように
リードでもつけとくんだったな〜」

「リード？！」

岩「ふふっ、次いなくなったらそうしよ」

いや、いなくなってからじゃ遅いか？なんて

そんな爽やかな顔で
サラッと怖いこと言わないで？！

.