こんな人生って (ページ23)

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岩「待ってるから、行っておいで」

「うん」

その言葉に甘えて、トイレを済ませて出ると
剛典さんの姿は無かった

あれ？待ってるって言ってたよな

剛典さんもやっぱりトイレ行ってるのかな

少し待っていようと
壁にもたれかかりポケットに入れていた携帯を取り出した

画面をつけると
1時間前に臣さんからのメッセージが入っていた

また思い出してしまった…

もう完っ全に忘れていたのに

「はぁ…」

メッセージをくれた臣さんは悪くないと思いながらも
ため息が溢れる

内容をチェックすると
仕事のことだった

こんな休みの日まで仕事の話

今夜は彼女と宜しくやってくれよ

いい気分だったのにイラッとした

ごめんごめん、と声が聞こえて見ると
剛典さんがこっちに歩いてきていた

岩「先輩から電話きて、外で話してた」

「あ、全然大丈夫です〜」

岩「ふっ、口調がだいぶ酔ってるね」

「ふふっ」

顔も赤いよ、と
体温を確認するように手の甲で
私の頬に触れた剛典さん

更に“ぽっ”と体温が上がった気がした

戻ろう、と今度は手を繋がれて
引っ張られる私

「剛典さんって………奥手ですか？」

岩「…え？」

そう言って、ビックリした顔をして
こちらを振り向き立ち止まった

岩「奥手？」

「だって…全然私と距離縮めようとしないし…」

岩「いや、それは…「私って魅力ないですか？」

臣さんへのイライラを
みんなより全然距離が縮まらない私たちと重ねて
剛典さんにぶつけていた

岩「どうしたの？Aちゃん」

もう…なにやってんだろ
引かれちゃったな

お酒が入ってるとしても
よくなった…

岩「なんかあった？」

剛典さんと目が合わせられない

なんて返そう

「いや…別に…」

あー…今日初めて会った人に
なんてことを言ってるんだ…

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