金色の君 (ページ26)

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菜「私こっちなんだよね」

と、菜々は家の方向を指差した

ここはいつも私たちが「またね」をする別れ道

そういえば紫耀くんたちの家はどこなんだろう

永瀬くんたちは？と菜々が聞くと
向こう、と歩いてきた方向を見た

菜「え、逆じゃん」

私達はサラッと家まで
送られようとしてたわけだ

紫「廉」

廉「ん？」

紫「その子送ってあげて」

そう言ってから

俺このガキ送るから、と
指さしているのは

……私

ガ、ガキ？

廉「ハハッ了解」

菜々は廉くんに
いいよ別に送らなくて、なんて言ってて

女の子は送られといたらいいんだよって
キュンとする言葉をかけられながら歩いて行った

紫「行くぞ」

「あ、うん」

それにしても’ガキ‘が引っかかるんだけど

でも私より少し先を歩く紫耀くんの背中に
少し嬉しいとか思ってしまっている

だってだって

夏休みに紫耀くんに会えるなんて
思ってもなかったし

また普通に話せて良かった

紫「おせぇ」

そんなことをふわふわ考えていると
さっきよりできていた私たちの距離

「あ、ごめん」

そう言って
紫耀くんのところまで少し走って隣を歩いた

「紫耀くん」

紫「なに」

「よくあそこにいるの？」

‘ガキ’も気になるところだけど
そこも気になる

紫耀くんのことたくさん知りたい

紫「よくはいないけど」

「ふーん、そっか」

紫「もう来んなよ」

「なんで？」

私が問いかけると
言葉にせずとも紫耀くんの表情が、ハァ？と言っている

紫「泣いてた奴がなに言ってんだよ」

「っ……もう少し大人になってか「うるさい」

…なんかさ

なんか私への対応酷くなってない？

最初はもっとこう…優しくなかった？

ほら、教科書貸してくれたりさ

あったよね？

優しかったり素直だったり
無愛想だったり怒ってたり？

なんなんだって感じだけど
なんかそれが紫耀くんの魅力っていうか…

あ〜だめだな、私

本当に好きじゃん

「はあ〜」

紫「こっちがハァだわ」

「ちがっ、このはあ〜はそういうハァじゃなくて」

紫「なんのハァだよ」

「…知らない！」

紫「は？笑」

意味わかんねぇな、と呟いた紫耀くんの隣で

私は1人、顔を赤くしていた

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