もし君と、違う形で出逢っていたら 3

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「今日うちくる？」



ある日の帰り道、急に紫耀が誘ってくれたけど

どうしてか後ろめたい気持ちが芽生えていて

素直にうん、と言えずにいる。



「ミンと遊んでやって」

「うん」



12月中旬ともなれば吐く息の白さは濃くなって

ぐんと日が短くなった。



「お邪魔します」



来るのに慣れた紫耀の家。

ゲージに入れてもらっていたミンを出してあげると

跳ねるように紫耀の帰りを喜んだ。



「ミンただいま」

「なんかまた大きくなってない？」

「そうかな、デブい？」

「ううん。そうじゃなくて成長したってこと」



コロコロと転がるように遊ぶミン。

可愛すぎて自然と笑顔になっていた自分に気付いたのは



「やっとちゃんと笑った」



って紫耀がソファの上で呟いたからだった。



「毎日笑ってるよ」

「ばーか、作った笑顔なんてすぐに分かんだよ」

「ばかなんて言わなくてもいーじゃん」



ソファから降りて床に座り込むわたしの前に

座り直した紫耀は頭に手を乗せて優しく撫でる。



「ばかって言って悪かった。だけど、俺はAの自然な笑顔が一番好きだよ。それを伝えたかっただけ」

「‥‥うん。ありがとう」



薄暗くなってきた部屋。

ミンはどこに行ったのか怖いくらいの静寂の中

紫耀の呼吸の音に鼓動が加速する。

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