もし君と、違う形で出逢っていたら 3

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「泣かないで。俺はAが誰を好きでも、俺の事を好きにさせてみせるよ」



いつものように袖で涙を拭ってくれる紫耀の目が

涙の反射で光って見える。




「だから、付き合お‥？」



違う。紫耀も少しだけ泣いてるんだ。

初めて見る紫耀の涙にきつくきつく締め付けられる心臓。


そんな時、テーブルに置いていた携帯が着信音を鳴らして

画面に優太の名前が表示されると

思わず手が携帯に触れたと同時に唇に温かさが

押し当てられた。

離れても感覚やその温かさは唇に残ったままでいる。



「急にごめん。でも今は俺の事見てて。いや これからもずっとそうさせるから俺じゃ、だめかな」



紫耀じゃだめな理由なんてひとつもない。

瞳が揺れるのと同時に心がゆらゆらと揺すられ

感情と思考が交差して手が震え始めた。



「ごめん、俺のせいで‥」



眉をひそめて瞳を濡らす紫耀の表情は悲痛に覆われている。


どうして紫耀が謝るの

震える手に紫耀の手が重なってわたしはいつでも

紫耀に助けられて笑顔にしてもらっていたのに

どうしてわたしは紫耀にこんな顔させてしまっているの


紫耀にこの身を預けたら

わたしはきっと世界で一番幸せな女になれる。



「紫耀‥‥ごめん、なさい‥」



それなのに、どうしてなの‥

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