もし君と、違う形で出逢っていたら 3

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｢俺は、Aが幸せならいいと思う｣



願っていた言葉は何一つ返ってこなかった。

それがどういう意味なのかはまだ考えられないけど

ただ分かるのは優太の中にわたしはもう居ないということ。



｢そっか｣



面白いことなんてなにもないのに、

勝手に顔の筋肉が笑顔を作る。

でもこうでもしないと瞼に溜まっていく涙が

零れ落ちてしまいそうで、怖かった。



｢ありがとね、わたしの幸せなんて考えてくれて｣



乾いたわたしの笑い声だけがふたりの間に

残って、優太の顔なんて見れない代わりに

彼の足元ばかり見ていた。



｢もう帰るね、また明日｣



また明日、なんて言葉にまた胸が締め付けられて

息を吸うのも吐くのも困難な程に苦しい。



｢A‥｣



こんなタイミングで名前なんて呼ばないでよ。



｢なに｣

｢ごめん｣

｢‥ごめんって、それどういう意味なの｣



黙ったまま俯く優太をわたしはやっと真っ直ぐ

見ることが出来た。



｢好きじゃなくなってごめんってこと？他の人と付き合ってごめんってこと？｣

｢違う！全部違う｣

｢じゃあなに？どうして優太はずっと告白してくれないの‥｣



堪えていた気持ちが言葉として流れると

それと同時に涙も流れていく。



｢もうどうしたらいいのか、分からないんだ｣



優太の言葉を聞きながら

頬から首筋までつたう涙が外気に冷やされて

体や心までも冷やしていった。

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