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翌日。


「行ってきます。」


眠るAの頭をそっと撫で家を出た。






臣さんとコレクションを見てから撮影をし

つかの間のフリーな時間。

誰も居ないホテルの展望室で

臣さんはソファーに座って

俺は立ったまま

ぼーっと景色を眺めていたときだった。


「臣さんて、Aのこと好きですよね。」


「好きだよ、Aちゃんのこと。」


自分から聞いたくせに

次の言葉が出せないくらい

ぐっと心臓を鷲掴みされみたいに苦しい。


「でも人の女に興味ないし」


臣さんは立ち上がり隣に並んだ。

微笑み言う姿は大人の余裕を感じる。


「Aちゃんは岩ちゃんしか見てないよ。
岩ちゃんのことが大好きだから
悩んでんじゃん、あんなにさ。」

「…臣さんのそういうとこ、ムカつきます。」



いつもそう。

冷静に周りを見ていて

相手の全てを受け入れて

その優しさで全てを包み込む。

いつだって大人なんだ

臣さんは。


「あいつは…Aは臣さんと一緒だったら
幸せになれたかもしれないですね。」

「ねぇそれ、本気で言ってんの?」


キッと睨む臣さん。


「お前がAちゃんを
幸せにしてやんなきゃどうすんだよ。」


俺の襟元を掴んで落ち着いた声で言った。


「素直になりなよ。」


きつい目つきはすぐに変わって

優しく穏やかな表情になる臣さん。


臣さんみたいに大人になんかなれなくて

いつもAを不安にさせて

俺でいいのかなって思うようになった。



でも

俺はAが好きだから

世界で一番、愛してるから



素直になるよ。

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作者名:ちゃむ | 作成日時:2018年10月21日 15時

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