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52:youside ページ2

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「…お願い、優しくしないで。
嫌いになって、私のこと。」

「 嫌いになれるわけないじゃん。
優しくするのはAを
愛してるからって言ったでしょ?」

「剛典…。」

「Aは堂々としてればいいんだよ。」


剛典の言葉が一つ一つ

ストンと心に落ちていく。

でも今は

頭が混乱していて

1人になりたかった。


「ごめん、ちょっと1人になりたい。」


不安そうな顔をして

何も言わずに見つめる剛典。

きっと部屋を出てったら

戻って来ないと思っているのだろう。


「大丈夫、ちゃんと帰ってくるから。」

「…ん、分かった。」


剛典の手を解き

鞄を持って部屋を出た。


星の綺麗な夜だった。


あ、この前入ったコーヒーショップ。

お客さんは誰も居なくて

私だけ。

何も考えず歩いていたら辿り着いてしまった。

あの日と同じ、チョコラテを頼み

お店をすぐに出た。


剛典と出会わなければ

凛も優梨さんも離れて行かなかったのかな

剛典が有名人って知らなかったら

穏やかに幸せに過ごせたのかな


でも剛典と出会わなかったら

こんなに人を愛することも

温かな優しさを知ることも無かった。

私にとって剛典は…


「世界で一番大好きな人。」


涙を堪えてぽつりと呟き

店先のベンチでぼーっとしていたら


「まーた泣きそうな顔してる。」


この人はタイミングを見計らったかのように現れる。

あの日と同じ。


「臣くん…」

「ちょっと待ってて。」


そう言ってお店に入り

カップ片手に出てくると


「歩こっか。」

「…うん。」


私の少し前を歩く臣くんの

後ろをついて行く。

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作者名:ちゃむ | 作成日時:2018年10月21日 15時

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