*あったかいココアと ページ9
side ( akito )
「ふぅ、」「っはぁ、」「あっつぅ」
まだまだ春の暖かさなんてものは感じられない日が続く中で、俺らのオカンこと神ちゃんが飲みもんを作ってくれました。
各々好きな場所に落ち着いて飲んでんねんけど、皆肩の力抜けてるなあ。仕事の時と別人や。
「おいしいなぁ、あったまるなあ」
「やろ、やっぱつくってよかったわ」
「んはは、ありがと、神ちゃん」
あっちは思わず見てるだけで頰が緩んでしまいそうな、のほほんとした雰囲気で、
「熱い?ゆっくり飲み、」
「やって早よ飲みたかってん、美味しそうやから」
「っもう、火傷したらあかんやん!ふーふーしたる、
ほら、」
「自分でしますっ、冷める前に飲んだら」
「っあぁっ可愛いっふーふーしてんの可愛いぃ」
「望うるさいなぁ、濱ちゃん」
「せやなあ、あ、流星ひと口ちょうだい、」
「ん、」
「あっ濱ちゃん狡い、俺も、」
相変わらず賑やかで、でも、何だか柔らかくて、ふふっと笑みが溢れてきそうになる光景を見せてくる3人が。
飲んでるだけでこんなに違うって、ほんまおもろいな。何回見ても飽きひん気がする。そう思ったのは、隣に居る人も同じだったみたいで、
「はは、三者三様って感じやな」
「楽しそうやわ、皆笑ってるもんな」
「たまにはええな、こういう日も、」
「神ちゃんに感謝せな、神ちゃんのお陰やし」
「そうやな」
「ありがとうな、神ちゃん」
「んふふ、どういたしまして、」
皆から言われて、ちょっと神ちゃんの顔が赤くなった。しげが「可愛い」って言うてる時の顔や。確かに、守りたくなるなあ。なんて、まるで我が子を思うような事を考えてみた。
明日からは別の依頼が入っていた筈。慌ただしい毎日が続くけど、今日みたいな日が待ってると思うと頑張れるな。
ただ、今はもう少しゆっくりしておこう。大切な人を堪能しきれていない。
「ん?もう、何そんな見てんの、」
珍しく淳太君がココアを飲んでいる。それに、いつものキリッとした顔からは想像できない程に優しい瞳をしている。ふわっふわの服着て、そんな瞳向けられたらな、もうな、
「んわっ、もう、溢れるやん」
「ごめんごめん、」
「思ってへんなあ、その顔は」
「ええやん、たまには、」
「___っ毎日してるくせに、」
ついついおでこに口づけちゃいました。ほんまはちゃんとしたかったけどな、どっかの天然さんみたいに溢されてもな。後でしよ。
神ちゃん、ありがとう。
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作者名:おみかんぽ | 作成日時:2020年2月8日 21時