とくべつな人達の短編集 (ページ18)

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＊やっぱり苦手なものは苦手ページ18

side ( daiki )

　いくら文明が発達しても敵わないものはある。

　例えば、ウイルス。

　未知のウイルスに人間はいとも容易く翻弄され、いつ訪れるか分からない恐怖に恐れ慄いている。

　
　それは俺らの親玉達も例外ではないようで。
　
　せっかくここまで作り上げてきた組織が、たった一つのウイルスによって滅ぼされてしまえば笑い話にもできそうにない。
　そんな上の判断により俺らはしばらく住処にて過ごすようになった。

　でも、ちょっと、いくらなんでも暇すぎる。
　職業柄長期休みなんてとったことないから、皆何したらええか分からんくて時間を持て余しとる。
　神ちゃんなんて落ち着かんのか意味もなく冷蔵庫を開け閉めしとった。

「っああああひまああああ」
「重岡うるさい。」
「淳太君の言う通りやで、でも俺も叫びたいわあ」
「照史が叫んだらここの壁ひび入ってまうから。
　やめてな」

　流石にこの状況に耐えかねて叫んだものの、それは淳太によって軽く受け流されてしまった。

　今日はもう昼飯食べ終えたし、トレーニングなら死ぬほど今までにやったし、依頼なんてあるはず無いし、本当にする事が無い。

「お前はいい加減自分の部屋の掃除せえ。」
「そういや神ちゃんに叱られてたな、
『汚すぎる』言うて。」
「それは明日するんですう」
「その言葉聞きすぎて信憑性ゼロやで」

　確かにそろそろせな神ちゃんから雷が落とされそうやなあ。
　まあそれは明日の自分がやってくれるであろう。

　でも、俺がしたい暇の潰し方はそうじゃない。

　何か、少しでも楽しく時間が潰せるものがあれば__

「ふっふっふっふ、しげ、今暇やろ。」
「なんや望、俺なら今暇すぎてゴキブリでも仕掛け
　ようかと」

「そうであろう、そうであろう」
「言い方ちょいキモいけど、何？
　その様子やとおもろいもんでも見つけたんか、」

　そう言うと、望の目がいたずらっ子のいたずらする前みたいな目の輝きを見せた。
　お、これは期待できそう。

「じゃあん！これ、皆で見たら絶対おもろいで！」

「おおお！ええもん見つけたな、お前え！」
「今日の夜に皆集めて見よな、」
「せやな、あえて最初は内容隠して___」
　
　望が見せたそれは、まさに今この状況にぴったりの代物やった。
　
　たまには刺激を味わいたいし、絶対この計画は成功させたい。
　
　そこから俺と望は話しに話し合い、綿密な計画を作り上げた。遠くで見ていた淳太と照史に訝しげな目線を送られながら。