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*久しぶりに ページ14

side ( junta )


 __真横に居る子は本当に「鬼の捜査官」なんて言われている人なんか。
 常に仕事に誠実に向き合い、自分に厳しい姿とは今はかけ離れている。

「……んへへ、おいっしい!これ!」
「本間あ?良かったあ、それ買って来て。」

 

 外出許可が珍しく上から降り、流星とその護衛役2人が散歩がてら桜餅を買って来た。
 何故桜餅チョイスなのか、と尋ねると、
小瀧望曰く「何か、誰かが俺に桜餅を買え!って言うてん。ほら、そろそろ春も近づいて来たやん。語りかけて来た人も食べたくなったんやろな。俺らも季節感じてこうや。」
濱田崇裕曰く「2人がめっちゃ食べたそうにしてたから買ってん。流星可愛かった。」
 
 ……だそうで。所々おかしいとこはあるけども。
 
 まあこいつらにしては中々に粋な事をしてくれた。
 季節感をこの中で感じる事はあんまり無いけど、確かに食べたくなる。それに、結構俺らには甘い物好きが多い。
 神ちゃんなんて、濱ちゃんが袋持ってんの見つけただけでも目開いて飛び跳ねる位喜んでたし。


 
 念願の桜餅を俺の隣で食べてる神ちゃんは、それはもう幸せそうに食べてる。口角上がりっぱなしで、頬がほんのり桜餅色に染まってて。詰まらせんようにな、という注意も多分届いてへんやろう。答えが返っては来たものの、目線は常に手元や。

「3人ともありがとお、
 最近、めっちゃ食べたくなってん。」
「はは、良かったわ。2人が桜餅見つけてから
 ずっとショーケース見ててん。」

「しょうがない。美味しそうやった桜餅と
 作ってくれた職人さんが悪い。」
「昨日しげと丁度話してな、食べたくなってん。
 _濱ちゃんありがと。」
「本間やわ、まさかこんな事あんねんな。
 あーりがとーお、濱ちゃん。神ちゃんに怒られた
 ら今度から桜餅出そうかな、」

 何やら重岡はよからぬ事を考えているらしいが、彼女さんには何一つ聞こえてへん。
 …今度言っとこ。


 どうやら割としっかりとした和菓子屋で買ったらしく、その味はそこら辺の物とはやっぱり違う。
謎の桜味とやら、でも嫌いじゃない優しい香りが香ってきて、お米の粒を感じられる上品な味わい。

 これは、中々美味しい。

 どうやら俺も神ちゃんの幸せが移ったのか、自分の頰も綻んでいくのが分かった。
 前に座っていた照史が、
「淳太君も幸せそうやん。」って柔く笑ってた。



「___うん、幸せやな。」


 桜餅は、人を良い気分にさせる魔法を持ってるらしい。

*あとでね→←*お昼の温かみ



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作者名:おみかんぽ | 作成日時:2020年2月8日 21時

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