第三王子の言葉 ページ6
お菓子持ったクラエス家の御令嬢は語る。
それは、王国の第三王子のイメージが崩れるお話であった。
なお、この話は私の脳に何故か記録された。
日記にも書くつもりなどなかったのに、次の日何故か忘れていなかった。
───
──
─
「それがねーAさん、ジオルド様、あっジオルド様はね、この国の第三王子で一応私の婚約者って事になっててね」
語りだした御令嬢は、お菓子を頬張りながら
目を瞑り、起こった出来事を思い出しているようだった。
私にもお菓子を食べる様促してくれたが、失礼を承知の上断っておく事にした。
「さっき丁度、寮を歩いてたら何故かジオルド様が居てね、いきなり『カタリナ、僕の部屋に来てお茶をしませんか』って言われてねー、私そのまま部屋に付いていったの。」
王子が、婚約者をお茶に誘う。
普通なら大広間など、皆に見える様にする場所で行うはずだが。
何故か、部屋なのだ。
「でねー、部屋に行ったのだけど、部屋の中にいっぱいお菓子があってねぇ、ふふ。」
御令嬢は気付いていないのか、寮の行き来は
本来届け出が必要である。それを、もう届けていて、更にはお菓子だ。御令嬢の言ういっぱいとは、きっと文字通りの意味だ。
用意周到な計画だ、と私は思う。
そして、次の言葉を待っていたのだが、
衝撃的な言葉を私は、目の当たりにする。
「そしたらいきなり、いきなり抱きついて来てね！『もう、既成事実を作ってしまいましょう』って！」
既成事実、王子からそんな言葉が出るのか。
この話を聞いていて、個人的なクラエス家の御令嬢のイメージは、余程鈍感な人なのだと思う。大体気付くだろうに、部屋に呼ばれた時点で。それに、ホイホイとお菓子で釣られているとは…
「んー、よくわからないけど恥ずかしいし、
そしたらね！キースが来てね、とっても慌ててたの、あっ、キースはね義弟なの。」
もうこの先の展開は察した。
なので、御令嬢の話を切り上げる。
これ以上は、私の胃が持たない。
「…………カタリナ様、あの、すみません。失礼を承知で言うのですが…」
「ん？」
お菓子を頬張りながら、首を傾ける御令嬢に
胃が痛くなる。
…何だか、この御令嬢には何を言っても駄目な気がしてきたので
「……頑張って下さいね。」
溜め息と共に無難な言葉を吐いた。
言葉の裏側を読み取る事なく、御令嬢は
「？ええ、頑張るわ！」
と元気に返してくれた。
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両儀家の畳(プロフ) - カメ豆腐さん» ありがとうございますとても嬉しいです！！！ (2020年5月2日 0時) (
レス) id: 828b8ad4db (このIDを非表示/違反報告)
カメ豆腐(プロフ) - はめふらの小説あるなんて！続きが楽しみです！これからも更新頑張ってください！ (2020年5月2日 0時) (レス) id: dc76f76660 (このIDを非表示/違反報告)
両儀家の畳(プロフ) - 怜奈さん» ありがとうございます！！更新意欲がとても湧くので感謝です！！！ (2020年4月25日 14時) (レス) id: 828b8ad4db (このIDを非表示/違反報告)
怜奈(プロフ) - いつも、楽しみに見ています！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月24日 23時) (レス) id: f5d18b0d48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：両儀家の畳 | 作成日時：2020年4月20日 22時
