七色恋物語 (all) (ページ9)

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私を掴む手が緩んだ瞬間

その男の人は突き飛ばされた。

大好きな人の声…でもいつもより低い声。

「…Aちゃん、大丈夫？」

「……やすだ…せんぱい……」

男の人を突き飛ばしたのは他の部員の人たちと

どこかへ行ってたはずの安田先輩。

いつもと違って怒った顔でイライラした口調。

『誰やねんお前。俺は今この可愛い子と…』

「俺？この可愛い子の彼氏やけど？」

『はぁー？彼氏持ちなん？
さっきおらんゆーてたやんけ！』

男の人はそう言い捨てて去って行った。

「…こわかったぁ………」

その場でしゃがみこむ。

「大丈夫？怖かったよな…
ごめんな、もうちょい早く来れてたら…」

私の横に同じようにしゃがみ込んでくれる。

「え、いや、全然！先輩は悪くないです！
ありがとうございました…！」

「んー、まあそやけど…
自分にイライラしてるわ(笑)」

そう言いながら笑う安田先輩。

何にイライラしてるんやろ…。

私なんかがナンパされて…迷惑かけたから…？

「なんで…ですか？」

「んーとなぁ、俺がどうしても握られへんかった
手をあんな知らん男が掴んでて腹立ったからかな。
思わずなんか怒鳴ってもうたわ(笑)」

「へ…？」

俺がどうしても握られへんかった

…ってどうゆうこと…？

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