あのね、わたし。 (ページ8)

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ナナくんと週末ページ8

｢Aちゃんですか？」

とんとん、と肩を叩きわたしの名前を呼ぶ彼を動物で表したらうさぎさんだろう。女の子全員が好きであろうその甘すぎる顔とその甘すぎるお顔からは想像できない低くて落ち着きのある声。名前を呼ばれて返事をする前に｢なんでアプリなんてしてるの？」なんて聞いちゃう程、まるでアイドルみたいなナナくんに少し狼狽えてしまった。
…もちろん、ロンジュンも負けてない。彼もまた女の子を魅了する男の子だ。

｢ごめんね、挨拶遅れちゃった。Aです、よろしくね」
｢会えてよかった、Aちゃん。ジェミンって言うから楽に呼んでね」

そう微笑むジェミンくんは、ロンジュンにも負けないほど美しかったと思う。…ジェミンくん、ロンジュンと比べてしまうわたしを許してね…

｢何が食べたい？」と優しく聞いてくれるジェミンくんに、素直に食べたい物を伝えると、オススメのお店に連れてってくれた。

甲斐甲斐しくご飯のお世話をしてくれて、グラスが開くと｢まだ飲める？気持ち悪くない？」｢大丈夫？」と気遣ってくれるジェミンくんに、冒頭で浮かんだ｢何でアプリなんてしてるの？」の疑問がますます大きくなっていく。こんなに気遣いもできて優しくてかっこいいのに。なんて考えながらお酒の力でフワフワしてるわたしをみてニコニコ笑ってるジェミンくんの顔を直視できない。恥ずかしい。

｢そんな見ないで、恥ずかしいよジェミンくん」
｢ん～？Aちゃんが可愛いからだよ。恥ずかしいなら俺あっち向いとく？ん～？？」
｢やだ、、それは寂しいから、こっち見てて？」
｢…深刻だね。ナナくんにしかそんな可愛いのしちゃダメだよ？分かった？」
｢んんん～わかんないけどわかったぁ」
｢本当にわかったのかな？Aちゃん？酔っちゃった？」

　
ジェミンくんが優しく聞いてくれるけど。…わたし、相当酔ってんな。って冷静な人格と、どうにでもなっちゃえ！のヤバい人格が喧嘩してる。初めて会ったジェミンくんにこんな姿を見せて申し訳ない気持ちはしっかりと持ち合わせていた。