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そういうことかと、納得した。
あの人は、怪物だ。
でもその前に一人の人間である。
故に寿命という壁には抗えなかった、ただそれだけ。
大きく揺れる彼の白いマントが彼の誇り、そして彼はその髑髏に背かない人生を歩んできたのだろう。
だから最期まで彼が貫き通した覚悟を__家族を愛するという彼の誇りを、あの人は貫き通したかったのだ。
私の嫌いな死に方には変わりない。
命を懸けてまで守りたいと思える誰かと互いの命を称えあって最期を迎えるという、私の理想の最期とは程遠い。
でも、それでも。
__彼の生き様が格好良すぎて、私なんかには文句なんて言えないじゃないか。
白ひげさんの言葉に、ジンベエさんや白ひげ海賊団の人たちが彼の背後に構える。
彼の誇りを守るべく立ち上がった彼らもまた、異常であった。
しかし、こちらの勝利条件が海軍の手中にあることを忘れてはいけない。
そちらがその気ならばと、エースさんの首へと刃が振り下ろされ__
「やめろォ〜〜!!!」
びりびり、と。
肌に電流が通った様な感覚に、思わず声の主を見る。
忌々しい、けれど感じ慣れたこの感覚は__呪力か。
いや、否、似てはいるが、少し異なる。
ソレの元は負の感情ではない。
何人もの兵士がバタバタと倒れ、このナニカに心当たりのありそうな数名は唖然と目を見開いた。
しかし当の本人は今の力に自覚はなく、ただ目の前の目標に向かって馬鹿みたいに進んでいく。
依然震える己の手、ただ、それとは反対に自分の頬が持ち上がるのが分かった。
理由は分からない。
自分の知らない、しかし自分の見知った能力と似た力に興味が湧いたのかもしれない。
はたまた、右も左も分からない世界に突如放り出され、その中で懐かしいものを見てそれに縋りたくなったのかもしれない。
その《興奮》が何によるものなのかは知らないが。
『__』
「__!」
キィィン、と金属同士のぶつかり合う甲高い音が響く。
『悪いけど__彼を見殺しにできない理由が増えた』
白ひげ海賊団の人たちが白ひげさんの指示で開いたルフィのためへの道。
私も微力ながらそれに力添えをして、イナズマさんの能力でエースさんへの道ができたのを確認した。
あと、少し。あと、あと。
ルフィがエースさんを助けたら、そこからは、私の出番だ。
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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (2023年5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時