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『二年の月待A。
Aって呼んで』
「明太子」
握り返された華奢に見えたその手は思ったよりも大きくて、彼の大きな瞳を縁取る長い睫毛がもたらす中性的な雰囲気とは真逆だった。
『任務帰り？』
「しゃけ」
頷く。
『そう。
寮に向かってるってことはもう今日の予定はないの？』
「しゃけ」
頷く。
『…もしかして、しゃけって“うん”って意味？』
「！しゃけ！」
また大きく頷いた。
ジェスチャーで答えられる範囲の質問をしていたせいで尋問みたいになっていたが、そのおかげで彼の語彙が一つ搾られた。
嬉しそうに笑った狗巻を見て、もう少し彼を理解したいという欲が湧いてくる。
『じゃあ、ノーの意味の語彙は？』
「おかか！」
『おかか？』
「しゃけ」
『…しゃけ？』
「お、おかか！」
『…ややこしい』
一生懸命身振り手振りで説明しようとする狗巻は、頑張っている本人には悪いが…すごくかわいい。
自分の表情筋がだらしなく緩むのを感じて、慌ててキュッと顔を引き結んだ。
『…私も今ちょっと暇なの。
良かったら、この前五条先生にもらったプリンがあるんだけど一緒に食べない？』
かわいいこの後輩ともう少し一緒にいたい。
そんな欲求が前に出て、誘ったはいいものの不審者みたいになってしまった。
きょとんとこちらを見る狗巻に、図々しかったかと気まずさに顔を隠すように髪を耳にかけた。
『いや、ごめん。嫌だったら全然いいんだけど』
「しゃけ！」
『え』
「ツナツナ！！」
行こう行こうとでも言わんばかりにAの腕を引っ張る狗巻。
今度こそ、Aの口角が持ち上がる。
少し前で揺れる、紫紺の双眼。
自分と同じ色の瞳に、不吉だと言われ続けたこの色で産まれて良かったと初めて思えた。
＿＿＿
「お、棘こんなとこでなにしてんの…って、Aもいんじゃん。
いつの間にそんな仲良くなったの？」
『あ、五条先生。棘とはさっきそこで知り合ったんです』
「明太子ー」
「え、もう名前呼び？
てかそれ僕があげたやつじゃん」
『ご馳走様です』
「高菜〜」
「…うん。仲が良さそうで何より」
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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか？ (4月20日 0時) (
レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました！とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです！更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです！ (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです！テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください！！ (5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なぎしば | 作成日時：2023年2月7日 17時
