海賊の男 ページ6
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「__酔いは覚めたか?」
不気味な紋様だけが残された左手を眺めていれば、ふと背後から声がかかった。
低いその声には覚えがあったためゆっくりと振り返ると、葉巻を咥え煙を燻らせるクロコダイルさんの姿があった。
向こうでは考えられないほど規格外な体格のため自然と見下ろされる形になる。
温度を映さないその目が冷ややかに私を見据え、顔を横切るその傷跡に不思議と嫌悪を一瞬抱いた。
『…もう着きますか?』
「いや…まだだ。
着いたとしても堂々と入れるとは思えねぇがな」
隣に並んだクロコダイルさんはそういうと、黒のコートを海風に揺らして海へと視線を投げる。
私もそれに倣って、徐々に晴れてきた視界の先を見据えようと目を凝らした__その刹那。
『__ッ?!』
「__テメェ、何が目的だァ…?」
器用に首に引っ掛けられた、金色の鉤爪。
鋭利な尖端が喉にくい込み、その痛みと圧迫感に、かは、と息を漏らす。
持ち上げられ宙に浮いた足を伸ばし逃げようとしてもクロコダイルさんはサラサラと砂に変わってしまい、拘束は緩まない。
絶対的な捕食者であるワニの目が、私を捕まえた。
「テメェの実力はさっき見た。
懸賞金がつけば簡単に億は超えるだろうな。
だが俺はテメェを知らねぇ。
あそこにいりゃシャバの情報がゼロになる訳じゃねぇ、それはテメェもよぉく知ってるだろ?
つまり知らねぇのが普通なんじゃねぇ。
出回ってねぇのがおかしいんだ」
『ぐ、ぅ』
「大人しく引っ込んでるって玉でもねぇだろ、テメェは。
ここに来るまで何してた?
そりゃあ何の能力だ」
敵意と警戒、その目は何度も見てきた。
その目に何度も殺されそうになった。
だけど、それじゃあ私は殺せなかった。
『…そうやっていちいち疑ってたら、息がつまりますよ、っ』
「心配いらねぇ、ずっとこうやって生きて来てんだ。
俺はハナから俺以外のやつを信じちゃいねぇからなァ」
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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時