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「馬鹿な息子を。
__それでも愛そう」
その花の咲き方は、自ら死を望んでいる人の咲かせ方だから。
仲間を売る様な人が、自ら死を望むとは思えない。
怒った白ひげさんが海を
私はそれを見て、湧き上がってくる不快感を隠す様に近くの呆けていた海兵を倒した。
白ひげさんは、間違いなくこの戦争中に死ぬだろう。
大抵の人々は、自ら死を望むことなどない。
呪術師然り、海賊然り、生きるという意思を持って戦っているのだ、死の覚悟はあっても、それがその意思へと繋がることは無い。
だがごく稀に、私はそういった人達を視る。
その人たちが花を咲かせるのは死ぬ間際で、まるでこちらに「助けるな」と主張するが如く、彼らに生きようとする希望を持たせる時間すら与えさせてくれない。
他人のために死ぬなんて真っ平御免だ。
最期まで貪欲に運命に抗って生を望んだ。
だって、私は取り残される辛さを知っているから。
それなら私は、命をかけたいと思えるほどの誰かと、自分の命を全力で救う。
限りある救える命のために取捨選択と、強さを備えて、自分のエゴのために生きる。
…今ここで、私の死を惜しんでくれる人がいるかどうかは分からないけれど。
恐らく《息子達》と呼ぶ船員たちの退路まで考えて死を見据えた白ひげさんの姿が、私には理解出来なかった。
この人だって伊達に歳を重ねていない訳では無いだろう、遺される人の悲しみは知っているはず。
その別れ方は、後悔を生み出すものなのだと。
理解できない考え__認識の齟齬は、時に人の間に亀裂を生じさせる。
所詮他人は他人なのだ、そうなるのも無理はない。
だから、今。
前方を望めば、嫌でも視界に入る処刑台。
その上でしっかりと前を見据えたエースさんが何を望んでいるのか、私には分からなかった。
分からないけれど。
これだけの人が貴方が生きること望んでいると言うのに、貴方が愛した“親父”が貴方のために命をかけていると言うのに、それでも貴方は生きたくないと言うのか。
もしそうだとしたら、私はその時貴方を大馬鹿者だと嗤ってやろう。
それくらい、貴方の甘えたその考えは私には理解できなくて、反吐が出るものなのだ。
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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時