廻った世界で月を待つ【ONEPIECE】【呪術廻戦】

＃ ページ27

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なんて残酷なのだろうか。



恐らくエースさんの処刑は彼の海賊という悪行だけが理由ではない。

むしろその体に流れる血が理由で彼は見せしめとして処刑されるのだ。
公開処刑という方法が、何よりも政府側の意図を表していた。


ガープさんだって、エースさんにこの情報を伝えるかどうか迷ったはず。

彼の立場からして外部に、しかも当事者であるエースさんに公開処刑の話を漏らすなどバレてしまえば首が飛んでもおかしくない。
けれど、彼はエースさんの祖父として自分の立場を犯してまで伝えることを選んだ。

エースさんが少しでも現実を受け入れる時間を作るように＿＿否、そうではないのかもしれない。



ガープさんだって、人の子だ。

いくら海賊が憎いとはいえそれ以前にエースさんは彼の家族。

エースさんがもし、悩みに悩んで生きたいと望めば、彼は己の立場をかなぐり捨ててエースさんを逃がそうとするかもしれない。

あの時だって、ガープさんはこんな小娘一匹の脱獄を認めずに、自分の孫の方が助けたかったはずだ。
エースさんが許されない血を引いているのを知っていたからこそ、彼は直ぐに「なぜ海兵にならなかった」と後悔が漏れたのだろう。


それは、どうすればエースさんが生きれるのかと考えに考え、思いついたガープさんなりの答えだったのだ。
…もしくは、私を逃がそうとしたのはエースさんが自分の死を受け入れると知っていて、せめてものエゴのためだったのかもしれないが。




『…私も、実は死刑囚だったんです』

「そりゃあ、天竜人に命じられたからだろ？」

『あれは死刑囚というか、その時もそうですけど、違うんです。
あの時は死ぬ気なんて更々なかったですし』




手錠に繋がれた手をグッと握った。


私の拘束はエースさんよりもずっと緩いもので、たぶんこんな細っこい女じゃ牢屋内で何もできないと思われているのだろう。
まあ、実際呪力なしじゃ、筋肉も脂肪も付きにくい体質のせいでただの非力なのだけれど。




『十歳の時、私も…端的に言えば、家系のせいで秘匿死刑の執行対象になりました』

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