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年上としての意地だった。





自分より年下に、赤ん坊同然の男の子に振られるなんて、癪だった。

自分のプライドが許さなかった。

ジョングクの気持ちなんて考えもしてない。

だって、自分の考えの方が合っていると思っていたから。




だから、彼の言葉が余計癪に障った。








『やめとけって、ジミンとはただの幼なじみだよ。
なんでそんな風にいうの?』

「なんでって、あの人、危ないから」

『ジョングクに関係ないでしょ』

「あるよ、だって、」

『元彼だから、なんて理由にならないよ』








互いの主張を譲らないのは、変わらない。

ただ違うのは、ジョングクに非を認めるつもりがないところだけ。




Aの言葉に口を噤んで、
でもまだ何かを言いたそうにする彼に、彼女はさらに追い打ちをかけた。








『ジョングクが、ジミンを知ったような口聞かないでよ』

「___」

『あんたより、ずっと私の方がジミンを理解してる』









時間は大切だ。

信頼を築くにも、友情を育むにも。

だから、今この時自分の言葉は合っているはずなのに。







「…それが、ダメなんだよ。
幼なじみだからって、自分が見てきたパクジミンが全てだって、思い込んでる」









多分、否、確実に、ジョングクの言葉も的を射ていた。




しかし、脳内ではそう分かっていてもそれを認められるかは別だ。

自分が正しいと、思い込もうとしている。








『…そんなはずないよ』









意識の端から、革靴のソールと階段の縁の金属とがぶつかる無機質な音が聞こえた。





それに知らぬ間に持っていた熱を冷やし冷静さを取り戻した二人は、
今更ながらの気まずさに視線を逸らす。


どちらからともなく歩き出して、他人のフリをする。

なにごとも、なかったように。




自分の知っているジミンが正しいのだと、今まで通り思えるように。




















「…心配性すぎるでしょ」









まじで、性格悪いね。











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作者名:なぎしば | 作成日時:2022年1月21日 16時

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