パラノイア【JM】 (ページ6)

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「＿＿＿おはよう、イムさん」

『おはようございます、課長』

壁にかかったシンプルな時計は始業の五分前を指し示し、
いつもきっかり同じ時間にくる課長の背を見送った。

年季の入った椅子が軋む音を聞いてから意識も視線も目前のパソコンに移し、
朝のうちに進めた資料を上書き保存するためにエンターキーを押す。

丁度その時ジミンが愛想の良い笑顔で出社してきて、
Aの席からいくつか挟んだ斜め前に座る。

目が合って、口の動きだけで「おはよう」と伝えられた。

Aも小さく手を振り返して、
目を覚ますために缶コーヒーを一口飲めば、横からちょいちょいと肩をつつかれた。

「ね、Aってマジでジミンと仲良いよね」

『…幼なじみだし、普通じゃない？』

「いや、普通は大人になっても会社一緒とか、しかも同じ部署とかもならないから」

「もしかして、デキてる？」などと目を細めて笑ったのは、同期のチョン・ホソク。

ぱっちりとした垂れ目が憎たらしくて、あからさまに顔を顰めて否定の意志を示した。

『ジミンはかわいい弟。
それに、』

「俺の弟と別れたんでしょ？
聞いたよ、《ヌナに振られたぁ》って」

『…わざわざ言わなくていいでしょ』

実の弟であるジョングクの泣き真似をして
けらけらと笑ったホソクに、Aは今度は苦い顔をした。

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