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「＿＿＿A､今日ランチ一緒にどう？」
昼休憩を知らせるチャイムが鳴り、
もうそんな時間かとぱっと顔をあげると隣から声をかけられる。
振り向けば、最も信頼していて＿＿＿今、正直言って気まずく感じてしまうホソクの姿があった。
僅かに垂れ下がった眦と、くりくりとした大きな目が彼の弟を連想させ、
数日前の出来事をAに想起させる。
無論、彼は一切関係がないし、彼に責任があるなんてことはもってのほかだが、
それでも彼女は彼にいい顔を向けられる自信がなかった。
第一、彼がジョングクとAの今の元恋人とは違う、
形容し難い関係を知っているのかを知らない。
それに、ジョングクがAに今向けている感情がなんなのかも、だ。
『あー、お昼は、ちょっと』
曖昧な笑顔と共に濁しながら答えればホソクは
少し残念そうにしながら「そっか」と零した。
彼のそんな表情に更に罪悪感が募り、
Aは落ち着かない様子で自分の髪の毛に手を伸ばす。
自分好みの色に染められた毛先を視界に移してから、
ふと視線をあげれば、斜め前の方にいたジミンと目が合う。
いつもは彼が微笑んでAも手を振り返すのだが、今回はそれができなかった。
彼女の方から先に逸らした視線はもう戻せず、
彼女から拒否されたも同然のジミンの表情を確認することも出来ない。
『…明日の夜は？』
思わず口走った言葉に一瞬後悔するが、これが最適解だと己に言い聞かせる。
都合のいいお人好しが顔を覗かせ、
悪気のないホソクの誘いを無下にするのは違う気がした。
そんなことを言ってしまえば、
ジョングクに悪気がなかった場合も許せるのかと言う話になるが、それとこれとは違う。
Aの提案を受けたホソクはぱっと顔を輝かせ、たちまち笑みを頬に刻んだ。
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作者名：なぎしば | 作成日時：2022年1月21日 16時
