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＿ ページ29
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いつの間にかコートが脱がされて、
体のラインが出るタートルネックの
ニットの中に大きな手が這わされた。
それはキャンバスみたいに
黄みがかった白で、
ユンギさんは一際強く私を引き寄せる。
「愛してる」
甘い言葉と共に深く口付けられて、
まだ乾ききっていない
未完成のキャンバスに背中を押し付けられた。
深い森を描いた画材が背中に付いて、
私がユンギさんからの刺激に
身をよじらせる度に音を立てる。
ねっとりと、
深い色が混ざって、
混ざって、
混ざって。
混ざりきったぐちゃぐちゃの色の中に、
最後に赤を塗られた。
一際目を引く、
深紅の燃えるような赤。
それで、完成した。
二人だけの空間に、二人だけの吐息が漏れる。
．
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作者名：なぎしば | 作成日時：2021年12月2日 21時
