油彩画【YG】 (ページ21)

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独占欲ページ21

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白い息が昇る、クリスマス。

ユンギさんと会うことがなくなって
一年が経とうとしていた。

ユンギさんとすごした形跡は、
カトクとあの作品だけ。

連絡先は消す勇気も残す勇気もなくて、
ずるずると引きずったまま
一年が経ってしまった。

あの作品は、
結局ジミン以外誰にも
見られることが無いまま
アトリエに飾られている。

あれは、

私だけの作品だから。

誰にもあの瞬間の感動は、

味わわせない。

「Aさん。

おつかれさまです」

『いえ、
ありがとうございました』

ひとつ変わったことといえば、
少し著名な画家になったこと。

とある小説の表紙に

私の作品を載せたい、

そうオファーを受け、
二つ返事で了承。

すると運がいいことに
その小説が国民的な大賞に選ばれ、
ついでというように
私の作品にも注目が集まった。

さらに追うようにして
あのキム・テヒョンも
私の作品に言及し、
瞬く間に私の作品は世間に広まった。

＿＿＿そして今日、
明日から行われる個展の
準備を進めていたところだ。

最終打ち合わせを終え帰宅するために、
自分へのご褒美として買った、
少しいい値段のする
ダッフルコートに袖を通す。

ベージュのつるりとした
マニキュアが光る指先でカトクを開き、

「帰る」

とメッセージを入れた。

たまにはちゃんと
家に帰るのもいいかもしれない。

…一年以上も帰っていないから、
不安なところもあるけれど。

外に出れば数々のイルミネーションが
光っていて、
眩しいほどに夜空を幻想的に彩る。

目の前でカップルが
写真を取り合っているのを見て、
いいな、なんて思ったり。

『…未練がましい』

そこでも相変わらず
思い浮かぶのはユンギさんなのだ。

あんな自分からの別れ方をして、
図々しいとは思っている。

それに、これから私は＿＿＿

『ぁ』

白いものが、視界にちらつく。

冷たくて、

触れれば溶けてしまうこれは、雪。

一気に降り始めたそれは
鮮やかな光を反射させて、
世界を白で埋めつくしていくから＿＿＿

気づくのが、遅れてしまった。

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