油彩画【YG】 (ページ17)

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．

普段目を合わさない癖に、

こういう時だけはちゃんと見てくる。

やめてよ。

そんな悲しげな表情しないで。

私も、泣きそうになっちゃうから。

『ユンギさんとは、

付き合えない』

ごめんなさい、

本当に。

あなたの気持ちに気づきながら
私は気付かないふりをして、

最低なことをした。

私の好奇心は、

一目惚れの裏返し。

ずっと《恋》を他の感情に置き換えて、

あなたのそばにいた。

でも言葉にされてしまった今、

してしまった今、

あなたのそばにはいれない。

『…じゃあ、ね』

またね、

っていつものようには言えなくて。

…ずっと、

知らないふりをしていたかった。

結局、

どこにも行かないで帰る羽目に
なってしまい、
ユンギさんに背を向けて歩き出す。

冷たい風が背中を押してくれた。

初めて会った時とは違う、
後ろ髪を引かれる思い。

でも今回は絶対に振り返らない。

＿＿＿＿だから、気づけなかった。

否、気付こうとしなかった。

ユンギさんが、

取り残された時計台の下で、

一人冷たい笑みを浮かべていたのを。

不信感のピースを埋めるには、

もう十分なはずだった。

．