検索窓
今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:56,868 hit

気が済むまでやり返す ページ5

童磨side









俺は驚いていた。

猗窩座殿が吹き飛ばされたのもそうだし、無惨様が現れなかったということにも。

そして俺の考えている事を察したのか、緋翠様は言った。








『………別に、無惨は私が傷付いただけで、怒りはしないよ。
私が勝手に、気が済むまでやり返すから』









「え………それって、つまり」









『もう一発、やる』









そう言って踏み込む緋翠様は白いその髪をたなびかせ、起き上がった猗窩座殿に真っ直ぐ向かう。

そして、全力で猗窩座殿の顔を蹴り、頭を破壊した。

凄まじいその蹴りの威力に思わず目を見開いてしまう。









『黒死牟、一緒に行こう』









血の付いた己の足を着物の隙間から覗かせたまま、愛らしく尋ねる緋翠様。

黒死牟は相変わらず変わらない表情だが、微かに困っているのがわかる。









「……私の、見た目だと…店に入れない……」









『包帯でもなんでも巻けばいい。
私はお腹が減ったの。
………早く』









そう言って緋翠様に羽織の裾をぐいぐいと引っ張られる黒死牟殿。

彼は困ったように此方を見てきたので、俺はニコニコと笑って言った。








「緋翠様?
俺が一緒に行きましょうか。
黒死牟殿より楽しませて差し上げますぜ」









『………やだ。
今日は黒死牟と行くの』









そう言って自分の倍程ある身長の黒死牟に抱き着く緋翠様。

愛らしいその姿に思わず蒸せそうになった。

そして、「それに」と続けて、緋翠様は言う。








『童磨は……その顔が嫌い。
偽物の、薄っぺらい偽笑……見てると、嫌になるの。

………本当に笑うようになったら、一緒に童磨と出かけるから』









「だから今日は黒死牟」と再び黒死牟の裾を引っ張る緋翠様。

黒死牟殿は再び困ったようにした後、渋々その場から緋翠様を連れていなくなった。

残された俺と猗窩座殿は、お互いを見ることなくその場で別れる。



何時もの教祖としての部屋に戻った俺は、自分の頰に手を当てて落ちてきていた口角を再びあげた。

そして、誰もいない部屋で呟く。









「………偽笑、か。
俺だって、本当に笑えたら苦労しないよ」

気分屋の零→←吾輩は上弦の零である



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 鬼舞辻無惨 , 幼女
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Cynic** - 覇戮さん» コメントありがとうございます。返信滅茶苦茶遅れてしまってすみません…ずっと書きたくて、書いてる時も楽しかった私も大好きな作品です。殆ど自己満足に近かったのに、沢山の方に読んで頂き評価をもらえて私もとても嬉しいです。温かいお言葉ありがとうございます! (2020年7月3日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
覇戮 - 完結おめでとうございます。とても良い作品で涙が出てきました。応援してます! (2020年5月20日 14時) (レス) id: 193145533a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Cynic** | 作成日時:2020年2月16日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。