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____近々、自分に限界が来るのは分かっていた。
恐らくこの戦いで限界が来て、細胞破壊が始まるというのも。
唯、この血鬼術を使ったことによって限界が来るとは思わなかった。
想像以上に、自分の体には限界が来ていたのだ。
緋翠は血涙によって赤く霞んだ視界から、柱達の反応を見る。
まだ、幸いにも誰も動き出していない。
一先ずは安堵したが、それでも何れは誰かが動き出す。
それを、避けねばならない。
「____此れがチャンスだァ!
風の呼吸、捌ノ型 初烈風斬り」
『____ッ!』
風柱の攻撃を、軋む骨を駆使して回避する。
____拙い、これは非常に拙い。
細胞の破壊によって起こる怪我はそう簡単には治せない。
普通の鬼ならば成す術なく死んで行くはずだ。
其れを食い止めるために編み出した血鬼術、彼岸花。
時間操作を行い己の保身の為だけに、編み出した血鬼術である。
だがそれを使う糧になるのは膨大な量の人の血肉が必要となる。
故に、人を喰らっていない今は使うのに限界があるわけだ。
目前の柱達を喰らえば大丈夫な話だが、それでは無惨を殺す可能性がなくなる。
それに緋翠は現在さして生に執着はない為、自分の命を投げ出すことに躊躇はない。
確かに、躊躇はないのだ。
だが____
「____ヒノカミ神楽、参ノ型 烈日紅鏡!」
炭治郎の刃が緋翠の首に届く、驚いて宙に飛び上がった緋翠を追い詰めるように炭治郎が技を繰り出す。
緋翠は己の腕を切り落とさせ、その攻撃を回避。
然し細胞破壊が進んでいる今、回復する術はない。
『____……だ、………なぃ』
「____?」
誰にも届かない声で呟く緋翠に、柱達は興味を示す。
軈て、顔を上げた緋翠。
隊士達は、驚きの表情を見せた。
「あの鬼、本当に___人に戻ってるのか?!」
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Cynic** - 覇戮さん» コメントありがとうございます。返信滅茶苦茶遅れてしまってすみません…ずっと書きたくて、書いてる時も楽しかった私も大好きな作品です。殆ど自己満足に近かったのに、沢山の方に読んで頂き評価をもらえて私もとても嬉しいです。温かいお言葉ありがとうございます! (2020年7月3日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
覇戮 - 完結おめでとうございます。とても良い作品で涙が出てきました。応援してます! (2020年5月20日 14時) (レス) id: 193145533a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Cynic** | 作成日時:2020年2月16日 15時