―1― ライブ三日前 ページ3
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真っ白な病室。
そこにはたくさんのぬいぐるみと、一人の幼い少女がいた。
肩まである薄茶色の髪に優しい栗色の瞳。
名は「河村歌音」。
この病室で入院している少女だ。
歌音は、少しつまらなそうにぬいぐるみで遊んでいた。
そろそろ飽きてきた頃、病室のドアがノックされた。
『?』
ドアが開くと、そこにいたのは大好きな両親だった。
「歌音、いい子にしてた?」
『うん!』
そう優しく聞くのは、母親の「河村響」。
茶色の瞳は、歌音と同じく優しい。
「今日は歌音に嬉しい報告だぞ」
そう言いながら、歌音の頭をぐしゃぐしゃと撫でるのは父親の「河村武志(たけし)」。
『ほうこく?』
響「うん。明後日に、翼さんとマリアさんのライブがあること知ってるよね?」
『うん』
響「そのライブにね、歌音も行けるようになったんだよ」
『えっ、ほんと?!』
歌音の顔がほころんだ。
響の知り合いの「風鳴翼」と「マリア・カデンツァヴナ・イヴ」は世界的に有名な歌手。
歌もうまくスタイルもいい。
歌音はよくお見舞いに来てもらっていたので、よく知っている。
その二人のライブがあると聞いたとき、歌音はすぐさま「行きたい」と言ったが医師は許してくれなかった。
歌音はもともと体が弱く、もし発作が起きたりしたら大変、という理由で却下されたのだ。
3日ほど不貞腐れていた歌音を見て、響と武志が医師に頼んだらしい。
武志「ああ。俺と響が一緒に行ってくれればいいとさ。最近、お前は発作がないからな」
『…やったー!!』
バンザイをして喜ぶ歌音。
そんな歌音を見て、響と武志も顔がほころんだ。
響「ほら、はしゃがないの。発作が出て、ライブにいけなくなっちゃうよ?」
そう響が言うと、ピタリと動きが止まった。
『ねぇ、そのことってつばささんとまりあさんも知ってるの?』
響「うん。歌が聞きやすい席を取っておいてくれるって」
武志「特等席だぞ〜?」
そう言って、武志は歌音を抱き上げる。
抱き上げられた歌音は嬉しそうに声を上げる。
入院期間が長い歌音の体は、まるで風船のように軽い。
響「じゃ、席を取っておいてくれてる翼さん達のためにも検査行こうね」
『うん!!』
優しく頭を撫でる。
―――まさか、そのライブが絶望の始まりだなんて誰も思わなかったであろう…。
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レイドラグニル(プロフ) - 読みました。更新待ってます (2016年8月23日 2時) (レス) id: 0beea0bbcb (このIDを非表示/違反報告)
☆松風守♪@アイクさんマジ天使すぎてツラい←(プロフ) - 櫻木翔香さん» おー… (2014年12月16日 20時) (レス) id: 2f72caca7b (このIDを非表示/違反報告)
櫻木翔香(プロフ) - ☆松風守♪@アイクさんマジ天使すぎてツラい←さん» ファイト…w (2014年12月16日 20時) (携帯から) (レス) id: 7a31cf1e05 (このIDを非表示/違反報告)
☆松風守♪@アイクさんマジ天使すぎてツラい←(プロフ) - 櫻木翔香さん» ありがとー。もう、PCが重いよ… (2014年12月16日 20時) (レス) id: 2f72caca7b (このIDを非表示/違反報告)
櫻木翔香(プロフ) - 更新待ってるねー (2014年12月16日 20時) (携帯から) (レス) id: 7a31cf1e05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆松風守♪ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mamotyan/
作成日時:2014年9月5日 12時