末っ子の闇。～俺ら4人で光をあげる～ PART７ (ページ43)

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翔side

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智「ね？お願い」

玄関に向かう俺の袖をぎゅって掴んで、
弱々しく笑いながら「お願い」って言う智にぃ。

・・なんだか、智にぃ小さくなった。

ふと、そんな思いがよぎる。
元々智にぃは体が大きな方ではない。

だけどいつだって頼れるお兄ちゃんで。

いつだって智にぃは自分を犠牲にして家族を守ってきた。

―――潤が自傷行為をし、記憶を無くした時だって、
ぼろぼろの俺ら支えるために、涙１つ見せずに支えてくれた。

家族のために、仕事も辞めてくれた。

他の事だってそうだ。智にぃはいつも俺らのために生きてきた。

智「・・しょう？」

「あ、うん、ごめっ・・」

思わず、胸が熱くなった。

そんな、俺らを第一位に考えてくれてる智にぃが、
俺に「大学行かないで」ってお願いする位追い込まれてる。

俺が、そこまで追い込まさせた。その事実に、涙が出てくる。

智「っ・・翔？翔、ごめん、俺、何かした？

また・・泣かせる、ような事。ごめん、分かんないの・・」

急いで拭ったんだけど、
今の智にぃには一瞬の涙も精神を乱すのに十分だった。

縋り付くように腕にくっついてきて瞳を不安げに揺らす。

「ごめん、大丈夫。うん、大学ね、休むよ？大丈夫」

そう言うと智にぃは、今俺が泣いてたことも忘れちゃったのか、
パァッて顔を輝かせて心底安心したように微笑む。

智「ふふ、よかった～。俺、分かんないからさ」

嬉しそうな智にぃと共に、玄関からリビングへ戻る。

潤「・・しょーに？」

「ん、今日行かないことにしたの。だから今日は一緒な？」

潤「・・？」

ソファで智にぃが俺を見送り終わるのを待ってた潤は、
戻ってきた俺を見て目をパチクリさせる。

ごまかすように隣に座ってぎゅってすると「ふふっ」て嬉しそうに笑う。

智にぃはテーブルの椅子に座り、潤が笑ったのを見て小さく笑う。

「何しよっか～」

潤の心のケアも、智にぃの心のケアも、どっちも大事。

でもどうしたらいいか分からなくて。俺の頭はもういっぱいいっぱいだ。

潤「・・たま・・っ、たい・・」

「頭痛い？ちょっと横になろっか？」

潤「・・ーん、んーん・・」

「ん？いや？」

潤「・・こ、いい・・」

「ここがいい？ん、おいで～」

膝枕がいいって言うから、そっと横にして頭を撫でる。

そんな潤を智にぃはじーって見つめてた。

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