4人のスタンド使いに惚れられた女の子

50 ページ50

〜吉良〜



しのぶ｢アナタ。今朝見たら爪伸びてたけど、その、切ってあげようか？」


吉良｢会社で切ったから大丈夫だよ」


早人｢爪切りいつも持ち歩いているの？」


突然現れた早人


まだ疑っているのか


吉良｢会社でって言ったろ？爪切りなんて持ち歩かないよ」


しのぶ｢そうよね。もう早人ったら。急に変なこと言うんだから」


吉良｢今日はもう休ませてもらう」

※吉良としのぶさんの寝室は別々です







早人は……いないな




念のため寝室の鍵をかけた




あの小さな手が私の手を……



吉良｢本当に上手だ」



自分で切るよりも満足できるのは彼女が切ってくれたからだ



何かお礼をしなければ



ーｶﾞﾀｯ！



屋根裏部屋から物音


ストレイキャットか


様子を見に行くとストレイキャットはぐっすり眠ったまま

餌が棚から落ちただけか


花……いや、ストレイキャットは花ではない


気味悪がられるだけだ


本物の花束なら喜んでくれるだろうか



わたしの想いを込めた花束



やはりここは赤いバラで……待てよ



花は色によっても意味が違ったはず

ネットで調べてみるとピッタリの花言葉が見つかった




白バラ



意味は｢私はあなたにふさわしい｣




彼女の喜ぶ姿が目に浮かぶ


おっと。いかんいかん


つい興奮しすぎた


“抜かなければ”ならないが愛しい彼女を想いながらそんな下品なことはできない



しのぶ｢ねぇアナタ。ちょっといい？あら、鍵がかかってる」


せっかくいい気分に浸っていたのに


早人といいこの女といい、とことん邪魔な存在だ



吉良｢どうしたんだい」


ドアを開けると風呂上がりなのだろう

少し髪が濡れている


それに暑いのか、しのぶの体格には合わない大きめのTシャツ


しのぶ｢この頃早人すぐ寝ちゃうの。よっぽど疲れているのね」


わたしに対して毎日気を配って神経をすり減らしているようなものだからな



この格好で子供(早人)が寝たと報告してきたということは誘っているのか


このわたしを




川尻浩作(この男)としのぶは夫婦



当然の行為でもあるが





だが……




『吉影さん……』




幻とわかっていても彼女にこんな悲しい表情(かお)をさせるなんて



心配しなくてもわたしは君以外の女性とそういうことをするつもりはない


吉良｢すまない。今日は疲れているんだ」


不本意だがしのぶの頭を撫でて部屋から追い出した


私が求める相手は常に1人だけ

この小説の続きへ→←49

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す