28.チグハグ。←9.10 ページ28
潤さんの掌が、私の頭の上でポンポンと二回跳ねた。
『100年早い』なんて言われてショックなはずなのに、されてる事は嬉しくてどんな顔をしたら良いのか分からない。
「あの...その人は...」
潤さんとどんな関係だったんですか...?
私のその質問は喉を通る事無く、飲み込まれた。
事務所に人が入って来たからだ。
「ただいまー。最悪、びしょ濡れなんだけ...あれ?」
どうやら外で雨に降られてしまったらしく頭からスッカリ濡れてしまってる旬さんが、私を見て「Aちゃん」と、今はあまり呼ばれたくない名前を口にした。
私の頭の上に置いてた手を、潤さんがスルリと離す。
「えっとー...お邪魔だったかな?」
「何言ってんだよ」
ちょっとからかうように言った旬さんにシラっと言い放った潤さんは立ち上がり、どこかへ行ってしまった。
唇を噛んでしまったのは、何だか泣きそうだったから。
そんな私の隣に潤さんと入れ替わるように旬さんが座ろうとしたけど、自分が濡れてる事に気付いた彼は床にしゃがんで私と視線を合わせた。
「Aちゃん、いらっしゃい」
「あ...はい、お邪魔してます」
「潤に何か意地悪された?」
「えっ!?そんな事は...」
「そう?悲しそうな顔してるから、虐められたのかと思ったよ」
フフ、と笑った旬さんの頭にパサっとバスタオルが被さる。
いつの間にか戻って来てた潤さん「濡れたままウロウロすんじゃねぇ」とタオルで覆われた旬さんの頭をグシャグシャした。
グシャグシャグシャーって。
「潤、タオルありがと」
でも旬さんはしゃがんだまんまニッコリ笑って、立ってる潤さんを見上げる。
「さっさと服も着替えろよ?」
「うん、風邪ひくからねー。潤、優しいね」
「床が濡れるからだわ」
「素直じゃないね」
「ね?」と旬さんは私に同意を求めたけど、別に返事を待つでも無く着替えに行ってしまった。
「あ...じゃあ、私そろそろ休憩も終わるから...」
「おぉ、じゃあな」
「...はい、また。お邪魔しました」
ペコっと頭を下げて、ちょっと逃げるように事務所を出た。
出る瞬間に旬さんの「バイバーイ」って声は聴こえたけど潤さんの声は聴こえなくて、勝手に一人で落ち込んで溜息を吐き出す。
「あーAちゃん!」
「斗真さん...」
エレベーターの扉が開くと、目の前に斗真さんが居た。
「おや?何か浮かない顔してんね」
私はそんなに顔に出るのか...と、また落ち込む。
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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時:2018年8月11日 13時