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「どうしよう………」


「なにが」


「いろいろ」



霞柱邸。


結局あの後走り去ってすぐに気づいた、柱になったとはいえまだ邸を与えられないってことに。


着替えもお金も食料も全部蛇柱邸だ。


さすがに戻る訳にもいかないので、誰かの邸にお世話になろうと思った。



「だからって、なんでここに来るのさ」


「しのぶさんのところ行こうかと思ったけど、忙しそうだったし……」



無一郎は風情があって、縁側で月を見てるのに対して、私はちゃぶ台に置いてある蜜柑を(無断で)食べてる。



「甘露寺さんは?」


「うーん、なんか、ねぇ?」


「いやなに」



甘露寺さんのところに行くのも気まずかった。


この前うどん屋さんで応援して貰ったばっかなのに、伊黒さんと喧嘩しましたなんて言える訳が無い。



「だったら歳も近いし割と気の置けない無一郎かなって」


「………まぁ別にいいけどさ、」



そう言って無一郎は私の目の前に来て、顔を覗き込む。


さらさらの黒髪が流れて、客観的に見てこの人はすごいかっこいいんだなぁと改めて気づいた。



「いいの?ひとつ屋根の下ってことだよ?」



うん、色気がすごい。


なんなんだろこの14歳。


あ、この蜜柑美味しそう。



「無一郎はそういうことしないって私信じてる」


「…………良くないよそういうの、あと誰が食べていいって言ったのその蜜柑」


「無一郎はさ、」


「ん?」



今の「ん?」って顔も、年頃の女の子なら顔を赤らめたりするんだろう。



「私がわざと明るい性格にしてたのも気づいてたでしょ?」


「うん、わかりやすいし」


「私の過去も知ってるでしょ?」


「うん、何となくだけどね」


「いい人だよね、無一郎って」



よく考えてみればその通りだ。


顔がよくて、人のことをちゃんと見ていて、優しくて、信頼できる。



「………………まずいなぁ」


「何が?」


「私らしくない」



無一郎に対してこんなこと思うとか私じゃない。


でもそんな完璧な無一郎の気持ちに答えられないのは、やっぱり。



「伊黒さんは、英雄だからなぁ………」


「……………?あのさ、」


「ん?」


「英雄、って言ってるけど、もしAをその牢獄から助け出したのが僕だったら?」


「……………………え?」


「君の言う「英雄」って、なんなの?」









「…………………え?」

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桜舞(プロフ) - あぁごめんなさい!訂正しておきます、ありがとうございます! (2021年5月3日 9時) (レス) id: faa91006d3 (このIDを非表示/違反報告)
小桜@SOS同盟 - 初コメント失礼致します。あの、11話の煉獄さんの訃報のシーンなんですけど、弐ではなく、上弦の参です。 (2021年4月29日 11時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜舞 | 作成日時:2021年3月18日 12時

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