隣の無一郎くん

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『で、結局なんの用なの？』


「悩みがあって、その相談に」


『有一郎に相談しなよ』


「それが出来ないからわざわざ不法侵入してんの」


『なんで』



わざわざって何。


無一郎は双子の弟で、兄が有一郎。


無一郎とは同じクラスだけど、有一郎とは一回も同じになったことがない。



『有一郎に相談できないってことは、女絡みじゃないのね、意外』


「意外って何」


『無一郎ほどの綺麗な顔を持ってれば、女関係もめんどくさいんだろうなって』


「うんめんどくさい」


『随分はっきり言いますね』



時透兄弟は顔はいいし運動もできるし頭もいい。


実際、女子生徒からの人気は飛ぶ鳥落とす勢いで。



「ていうか一応女絡みだよ」


『うそ、そうなんだ。……でなんで私の部屋に？』


「だからその相談に」


『それはさっき聞いたって』



言葉のキャッチボールができてないから話が進まない、困る。



『えーと、女子からのストーカー被害に悩んでたり？』


「それは自分で対処可能」


『そっか。じゃ、2次元の人に恋したとか？』


「違う。3次元」


『へー。………………え？』



今まで無一郎が誰かを好きになったなんて話露にも聞いたことがなかった。



『え、好きな人できたの？』


「うん」


『えー………………』


「何その反応」


『いやなんか、意外だなって』



だってさっきこの人女関係めんどくさいってはっきり言ってたよ。



『まぁ、私が思うに大抵の人は無一郎の「好き」でイチコロだと思うよ』


「それは知ってる」


『あっはい』



やっぱりモテる人って誰しもある程度の自覚はあるんだ。


というか、









『好きな人居るのに同年代の女子の部屋に無断で入ってくる心情とは』

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