新たに ページ14
クリスは、自身に落ち着けと言い聞かせた。
まだ鼓動のスピードは落ち着かないし、冷汗が肌を伝うのが分かる。
あれは一体なんだ。ひどく冷たいものに体の内側をなでられるような得体のしれない感覚。
人ではない。絶対に。
「君は何をしているんです。」
不意に後ろから声をかけられた。
驚いたクリスは、振り向きざまに距離を取ろうと飛びのいた。
相手を確かめることもなく、脇に落ちていた空き缶を投げつけた。
しかし、そこにいたのは同期のチェンだった。
「チェン、」
チェンは、ツカツカとクリスの前まで来ると腕を掴んで立たせた。
「ここにいると面倒です。」
そういうと、そのまま脇道から大通りに出てクリスをタクシーに押し込んだ。
「ちょっ、おい! いきなり何すんだ。
俺はまだやることがあるんだ。」
「そんな様でよく言えますね。
あれは、我々公安の管轄です。勝手な手出しは謹んで頂きたい。」
｢なんだそれ！お前あいつが何か知ってんのか！！｣
クリスは、チェンの肩を強くつかんだ。
｢あなたには関係のないことだ。
だいぶ顔色が悪いですね。病院によって帰るといい。｣
「おい！」
チェンはクリスの手を冷たくはらい、そのままタクシーの運転手に行き先を告げドアをしめた。
運転手はドアのしまる音を合図に、クリスを乗せて走り出した。
一瞬、車を止めて戻ろうかと腰を浮かせたが、これ以上あそこにいてもチェンや公安の連中からなにか聞き出せるはずもないとクリスは、だまって身体をシートにあずけた。
タクシーが走り去るのを見送ったチェンは、そばに来た部下に目をやった。
部下と言っても彼の方が年上であり、且つ公安での勤務期間も長い。
いわゆる叩き上げと言われる彼は、自分の見張り役なのだろうとチェンは思っていた。
「いいんですか。接触した者は捕まえておくべきでは。」
「いいえ、泳がせます。彼に２，３人つけておいてください。」
タクシーの消えた道を見据え、またチェンはあの路地へと戻るのだった。
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yori(プロフ) - また来ましたっ（´▽｀*）。ずっと探しててwww見つけた時は息が詰まるほど嬉しかったです。もう一回読み直しますっ。更新は無理しない範囲でしてください (2012年12月13日 16時) (
レス) id: 88ffb53b2c (このIDを非表示/違反報告)
tutu(プロフ) - yoriさん» コメありがとうございます。お返事、更新共に遅くなってしまい申しわけありません。なかなか更新ができない状況ですが、気長にお付き合いくださるとうれしいです。がんばります！ (2012年9月4日 22時) (レス) id: a617facaa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tutu | 作成日時：2012年7月1日 23時
